ジェシカ・ユー 「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」 渋谷シネマライズ

一年に数えるほどしか映画見ないのに、今週もシネマライズです。
ダーガーの部屋に一歩足を踏み入れたら、そこはもう非現実の王国のはずだけど、主人公ヴィヴィアン・ガールズが繰り広げる世界が現実で、アパートの隣人達を始めとする人間の世界が非現実にも思えてきそうなドキュメンタリーでした。
自分の世界(部屋)に引きこもり、長年の間にいろんな技法を発見して、誰かに見せようと思うことなく(生涯会うことの出来なかった妹には見てもらいたかったのかも)延々に黙々と物語を作り続ける姿、というのを知らなかったわけではないのですが、改めて見るとやっぱり只々すごいなあと思います。
描かれた作品のアニメーション化は正直びっくりしたけど、いきいきとしてて自然でした。
ダーガーが実際部屋でやっていた、何人もの声色を使っての会話という行為を、このアニメーションに当てたとしたら、これは現実なのか、非現実なのか、区別のつかないものすごい王国になりそうな気がしました。

※写真左 タラ・ジェイン・オニール、右 ヘンリー・ダーガー