見えない境界、見える境界 新宿ピットイン

出演:テニスコーツ飴屋法水大友良英
テニスコーツの曲が緩やかに流れていく中、大友さんも飴屋さんも特にテニスコーツっぽくしようという動きが感じられないまま、ギターや物音、パフォーマンス等で表現をされてました。
途中飴屋さんが演奏中のテニス植野さんの髪の毛を無造作に切って、ギターの弦の隙間にどんどん挟み込むと少しずつ音が消えそうになり、それでも弾き続け挟まった髪の毛を少しずつはじいて全部払い落としていくと、少しずつ音が復活してくる過程が小さな感動でした。
「バイババビンバ」のヴォイス部分をやりながら走ってた飴屋さんの姿は、飴屋さんが自身の中で誰とでもない見える境界を作っていたような、何故かそんな気がしました。
どうしてもピアノを壊したいって大きなハンマーでガンガン叩いてたけど、丁寧に板(素材)を剥がしてく解体はあまりにもやさしくて愛情こめられてるように見えました。
ただそんな傍らでぎりぎりまでピアノ演奏を続けていたテニスさやさんにとっては恐さと珍しさが入り混じってたようで、ここには見えない境界が静かに生まれていたのかもしれない、と思いました。
ライブの余韻が残る中、4月と5月に見たdetune.のライブを思い出しました。
対バンはみんな音が全然違うから全体的にムラがあっても普通なのに、でちゅーんだけ馴染んでないというのか、浮いた印象が残りました。
特に派手さも無く淡々静々と過ぎてゆくのですが、でちゅーんの生み出す透き通った幻のような世界を放ってくれるというより、吸い込まれるような感覚を起こすからかなあと。
観客(自分)とでちゅーんの境界を見えないながらもしっかりと感じてしまってるのかもと、ふと思ったのです。


※写真左 三輪車と植野さんの切られた髪、右 detune.