ラース・フォン・トリアー 「メランコリア」 新宿武蔵野館2

レディースデイのレイトショーで、新月でもありました。
端から、静かにゆっくりとのしかかってくるような重さの不快極まり無い混沌とした空気の中、流れの明確さや俳優の濃い存在がものすごく際立って見えました。
映像はノイズを除去したような潔癖さがあるけれど、幻想を彷徨ってるようなぶれは無く、ラース・フォン・トリアーの頭の中(=貪欲さ)を覗いて、それを冷静に客観的に映してるような感じがしました。
この作品に関しては、いつも感じるラース作品の絶望的な気持ちとはまた違って、どこか吹っ切れてしまうような清々しさを感じながらも、そんな気持ちを持つっておかしいのかもしれないと、なんとなくコントロールしようとしている自分って・・・


※写真 観覧の簡単な説明と約束(レクチャーホール)

梅田哲也 「ゴミと箱と音楽」 横浜美術館レクチャーホール

階段を降りたらホールのロビーに大きな風船が吊ってあったので、ここでやるのかなと思ってたら開演時間に梅田くんが現れました。
観覧の簡単な説明と約束をして5分後に、観客はホールに入って自由に着席。
暗い中、ステージ天井から水が落ちてきて、「あ、はじまったかな」って思ったので、よく見て、聴くことにしました。
でもなんか覚えのある景色(作品は除く)だなあって考えてたら、1月にポレポレ東中野でやったホースのオールナイトレコ発でした。
映画館なので客席に座ってステージを見上げるように作品を見てたのですが、その中で梅田くんのライブ映像も上映されたのです。
今回はステージ上で音具を作り、調整し、次の音具を作りに移動したり、途中でトイレットペーパーが落ちたら直したり、吊り下げる為の舞台装置を操作したりとか、あちこち動きながら全て一人でやっていて、そのどうしてもスムーズにはいかない流れを見ながら生まれてくる音を見つける(聴く)のが楽しいのですが、ステージと客席という段差と距離があるだけで伝わってくる感じがかなり違うものなんだと思いました。
私の場合、梅田くんの作品はすごく身近な気持ちを持って見て(聴いて)しまうので、今回は面白いだけでなく物足りない気持ちも湧いてきてしまったのが、ちょっと惜しい気がしました。
でも明日になると、その辺も変化させたものが見れるんだろうなあって、見に行けないながらもなんかわくわくした気持ちになってる自分がいました。

マイ スウィート ソウル

1週間経ってしまいましたが、De La FANTASIA 2012@新木場STUDIO COASTで、テニスコーツのコーラス隊(=うんドら)として参加させていただきました。
練習では、さやさんや植野さんのやりながら少しずつ変えてって形が決まったものの、次の日にはまた新しいアイデアがでて人も増え変化してゆくという流れで、めまぐるしいけどそれが自然な感じのする、結果としてきれいにテニス色(いろ)となってた気がしてます。
本番では、メンバーは移動したりあちこち分かれていたので、音や歌が聴こえてくる方向にたくさんのお客さんが同時に視線や体を向けられたり、ノリのいい反応(声)もあちこちから大きく聴こえてきたりと、リハやってる時に感じた規模をぽーん!と軽く超えてしまった熱い何かがどーん!と跳ね返ってくるように感じました。
私は余裕なかったけれども、すごく楽しかったという気持ちが後を引いててうれしいです。
観て(聴いて)下さった方、(遅くなりましたが)本当にありがとうございました。

コーヒープリンス1号店」のさわやかで優し過ぎる人でもなく、「パスタ」のストレートで正直な荒めの人でもなく、特徴なさげな空気みたいな人が空気を読んでて、程よく空気を運んでくれるような・・・という、イ・ソンギュンの謎めいた役柄が気になる、「マイ スウィート ソウル」というドラマの静かで展開のゆっくりした流れが、自分が過ごしている時間の流れとシンクロしているような気がしました。
勿論ドラマの内容のような日常を送っているわけではないのですが、音楽を聴いてて絶妙にしっくりくる時があるような、あんな感触です。

『HOSE III』発売記念オールナイト ポレポレ東中野

13日の金曜日から約1週間・・・
ホースの演奏+景品の無いビンゴゲーム+映像作品だらけの、オールナイトレコ発。
古澤健 『love machine』 → ありえないのにありえるようなところと、すんなり入り込める観やすさがよかったのと、ひたすら笑えました。
core of bells 『Hard Stuff』 → 全員めっちゃ演技してますって感じが面白かったです。
片桐絵梨子 『絵日記』 → あの一瞬ですべてが凍りつきました。
杉本拓・宇波拓 『天狗と狐』 、梅田哲也 『大きなことを小さくみせる(抜粋)』 → ライブで見たくなりました。
佐々木敦 『ビンゴ!』 → 深夜にビンゴゲームで大勢が盛り上がってる映画館というシチュエーションが・・・(笑) ← 注)映像作品ではなく生(なま)です。
田中功起×HOSE(今のところ3部作) → 普段のホースがそのまんま映し出されてる気がして笑ってしまいました。
江崎將史 『立ち食い蕎麦観測』 → 同じメニューが何度も出てくるのが可笑しいのと、何気にうどん派?
泉智也 『ベース教則ビデオ』 → なんでいつも4弦がゆるゆるなんだろうと思ってたのですが、これを見て解決です!
中尾勘二 『映像作品』 → 昔、親が撮って見せてくれた8ミリを思い出しました。
服部玲治 『食い道楽観測』 → グルメなメニューをたっぷり観てしまいお腹がすいてきて、食べても無いのに眠くなってきました。
ホースの後半の演奏は確か5時半すぎ開始だったので、眠気混ざりのラジオ体操みたいな流れでしたが、生の音はやっぱり気持ちがいいのでぐいぐい頭が目覚めてきました・・・という事で、もうちょっと演奏聴きたかったです。


※写真 江崎さんと古池さん(ポレポレ東中野

『HOSE III』先行発売ライブ “Friday the 13th” 大崎 l-e

『HOSE III』のジャケットみたいな樹海に放り出されて風が吹きすさんで孤独感が募ってきて正常さを失いつつあるのか、懐かしさを感じたり愛着までもが増してきてるけど、これってこの世じゃない気がする・・・って、聴きながら自問自答を繰り返してる気分でした。
そんなのめり込み方で、この世の肌触りの無い世界を覗いてきた・・・って感じのするライブでした。
木下和重さんのヴァイオリンも黒板引っかいた以上の不気味さで、唯一佳村萠さんの空から星がこぼれてきたような透き通った声に、血がいきいき流れてるような人肌っぽさがあって、ものすごく繊細なのに偉大なる母のような温もりのある存在に感動しました。
帰宅して『HOSE III』の泉さんの曲を聴いてたら、クロゾフスキー+ピロレーターの「Overture」を思い出しました、あのぞわ〜って感じの・・・